水を飲みすぎると危険?夏に気をつけたい水中毒の症状と予防法
「こまめに水分補給をしましょう。」
暑くなると、テレビやニュース、自治体からの熱中症対策の呼びかけで、この言葉を目にする機会が増えます。
日本の夏は気温だけでなく湿度も高いため、熱中症を防ぐには水分補給が欠かせません。
しかし、水はたくさん飲めば飲むほどよいのでしょうか。
実は、短時間に大量の水を飲むと、体内の水分と塩分のバランスが崩れ、「水中毒」と呼ばれる状態になることがあります。
わが家の夫も、普段はあまり水を飲まないのに、喉が渇くと500mlのペットボトルを一気に飲み干すタイプです。
暑い日や入浴後には気持ちよさそうに水を飲んでいますが、あまりにも勢いよく飲む姿を見て、「水も一度に飲みすぎるとよくないのでは?」と気になりました。
そこで今回は、水の飲みすぎで起こる水中毒の原因や症状、夏の正しい水分補給について調べてみました。
水中毒とは?水を飲みすぎると起こる低ナトリウム血症
水中毒とは、短時間に大量の水分を摂取することで、血液中のナトリウム濃度が低下する状態を指します。
医学的には「低ナトリウム血症」と呼ばれます。
私たちの体は、水分だけでなく、ナトリウムをはじめとする電解質のバランスを保つことで正常に働いています。
ところが、水だけを急激に大量摂取すると、体内の水分が増えすぎて血液中のナトリウムが薄まることがあります。
低ナトリウム血症は、大量の水分摂取だけでなく、腎臓や心臓の病気、利尿薬の使用など、さまざまな原因によって起こります。
健康な成人であっても、短時間に処理能力を超える量の水を飲めば、水中毒を起こす可能性があります。
一般的に、健康な腎臓が排出できる水分量は1時間に約0.8〜1リットル程度とされていますが、これはあくまで目安です。
体格や腎機能、食事量、発汗量、服用している薬などによって大きく異なるため、「1時間に1リットルまでなら安全」という意味ではありません。
通常の生活で適量を少しずつ飲んでいるだけなら、過度に心配する必要はありません。
問題になりやすいのは、喉が渇いていないのに無理に飲み続けたり、短時間に何本ものペットボトルを空けたりするような飲み方です。
水中毒の症状とは?頭痛や吐き気が出たら注意
水中毒によって血液中のナトリウム濃度が低下すると、最初は次のような症状が現れることがあります。
・頭痛
・吐き気や嘔吐
・強いだるさ
・めまいやふらつき
・反応が鈍くなる
・集中しにくくなる
症状が進行すると、混乱、意識障害、けいれんなどが起こることもあります。
低ナトリウム血症の症状は、主に脳の働きに影響することで現れます。
注意したいのは、水中毒と熱中症では、頭痛、吐き気、だるさなど似た症状が見られることです。
「暑いから熱中症だろう」と考えて、さらに大量の水を飲ませると、低ナトリウム血症だった場合には症状を悪化させる可能性があります。
大量の水を飲んだ後に頭痛や吐き気が続く、受け答えがおかしい、意識がもうろうとしている、けいれんが起きたといった場合は、自己判断で水を飲み続けず、速やかに医療機関へ相談することが大切です。
喉が渇いてから一気に飲むのはよくない?
普段はほとんど水を飲まず、喉が渇いた時にまとめて飲む人も少なくありません。
500ml程度の水を一度に飲んだからといって、すぐに水中毒になるわけではありません。
ただし、短時間に大量の水を繰り返し飲む習慣は避けた方が安心です。
特に注意したいのは、次のような場面です。
・長時間の運動やマラソンの最中
・炎天下での作業中
・サウナや長風呂の後
・暑い日に水だけを何本も飲む時
・熱中症が心配で無理に水を飲み続ける時
長時間の運動では、失った量以上の水分を飲むことが、運動関連の低ナトリウム血症につながる場合があります。
水だけでなくスポーツドリンクであっても、必要以上に大量に飲めば水分過多になる可能性があるため、「スポーツドリンクならいくら飲んでも大丈夫」というわけではありません。
夏の水分補給は少量ずつこまめに
夏の水分補給で大切なのは、一日の目標量を無理に一気飲みすることではありません。
朝起きた時、外出前、帰宅後、入浴の前後、就寝前など、生活の節目に少しずつ飲むと続けやすくなります。
一日に必要な水分量は、年齢、体格、食事内容、活動量、気温、発汗量によって異なります。
一般的な生活では、食事に含まれる水分とは別に、飲み物から一日約1.2リットルを摂取する例が示されていますが、これはすべての人に当てはまる絶対量ではありません。暑い日や汗を多くかいた日は、失った分を追加で補う必要があります。
一度に大量に飲むよりも、コップ1杯程度を目安に、何回かに分けて飲む方が取り入れやすいでしょう。
ただし、心臓病や腎臓病などで水分や塩分の制限を受けている人は、一般的な目安をそのまま実践せず、主治医の指示を優先してください。
汗をたくさんかいた時は水だけで大丈夫?
日常生活で軽く汗をかく程度なら、通常の食事を取っていれば、水やお茶などで水分を補えることも多いです。
一方、炎天下で長時間作業した時や、激しい運動で大量の汗をかいた時は、水分とともに塩分も失われます。
そのような場合は、水だけを大量に飲むのではなく、休憩を取りながら塩分や電解質も適切に補うことが大切です。
スポーツドリンクは運動や大量発汗時の水分・電解質補給に役立つ場合がありますが、商品によっては糖分を多く含みます。
経口補水液は、脱水状態の改善を目的に成分が調整された飲料です。普段の水代わりに大量に飲むものではなく、必要な場面で使用方法を確認して利用しましょう。
厚生労働省の関連資料でも、大量に汗をかく場合には水分と塩分を一緒に補給することが案内されています。
水分補給で大切なのは量だけでなく飲み方
熱中症を防ぐために水分補給は欠かせません。
しかし、「水は体によいから、飲めるだけ飲んだ方が安心」という考え方には注意が必要です。
大切なのは、一日の数字だけを気にするのではなく、気温、活動量、発汗量、体調に合わせて少しずつ補給することです。
喉が渇くまで我慢して一気に飲むのではなく、普段からこまめに飲む習慣をつける。
大量に汗をかいた時には、水分だけでなく塩分や食事も意識する。
そして、頭痛や吐き気、意識の変化など、いつもと違う症状がある時には、無理に水を飲み続けない。
熱中症対策にも水中毒の予防にもつながるのは、「とにかくたくさん飲む」ことではなく、自分の体の状態に合わせて適切に飲むことです。
今年の夏は、水分の量だけでなく飲み方にも気を配りながら、無理なく安全に暑い季節を乗り切りたいと思います。
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